鎔断は国家の礎を築く
創業者の熱い思いを受け継ぐ
私の父、初代社長の菰下茂は、ガス鎔断という技術に着目し、1936年(昭和11年)に菰下鎔断工作所を創業しました。これが現在の菰下鎔断の礎です。精密鎔断がビジネスとして成り立つのは、日本だけです。クライアントの図面を厳重に管理し、誠実さを貫くこと、そしてクライアントとの共存共栄を第一に考える「和の精神」を持つ父だからこそ、この業界の先駆者として精密鎔断業を確立することができました。
父は、厚鋼鈑を切断する鎔断業を、国を守る重要な使命と捉え、戦時中には艦艇や戦車の部品となる鋼材の提供に加え、独自に開発した工具を軍需物資として供給し続けました。
私もまた、鎔断業は日本の産業界、ひいては国の成長と発展に貢献する仕事であると確信しています。この信念は、創業者である父から受け継いだものです。
“成せば成る”の信念で
会社存続の危機を乗り越える
菰下鎔断の90年に及ぶ歴史の中で、幾度となく困難に直面しました。1975年(昭和50年)、
第一次オイルショックによる鉄鋼業界の大不況により、当社も深刻な影響を受けました。
会社の存続を図るため、合理化を進めざるを得ませんでしたが、大きな障壁となったのが組合活動でした。
当時専務であった私は、組合対策の全権を委ねられ、団体交渉やストライキなど、
激しい攻防が続きました。これは私にとって最も辛く、苦しい時期でした。
しかし、誠意をもって粘り強く対応し、最終的に合理化を実現しました。
ただし、それは人員の2割削減という厳しい決断を伴うものでした。この苦い経験が、財務体質を強化し
従業員の幸福を最優先する経営方針へとつながっています。
次なる試練はすぐに訪れました。
合理化を達成したにもかかわらず、メインバンクから運転資金の融資を断られ、再び存続の危機に直面しました。
一か八かの思いで、ゴルフを通じて親交のあった当時の大阪銀行の副頭取に直接融資を依頼したところ、
私の人間性を信頼してもらい、無事に資金を確保することができました。
この経験を通じて得た“成せば成る”の精神は、私の経営哲学の核となっています。
M&Aで志を同じくする仲間を増やし
“菰下ファミリー”で可能性を無限大に
現在、菰下鎔断は大阪府貝塚市の本社・工場を中核とし、独自の技術を追求する関連会社やグループ会社、事業所を多数展開しています。さらに、M&Aを積極的に推進し、事業規模を拡大し続けています。菰下ファミリーという一大企業グループを形成し、シナジー効果を生かして知見を深め、さらなる業績向上を目指しています。そこには、鎔断業界を牽引するパイオニア企業としての誇りがあります。
グループ会社の存在は、人材育成の場としても重要な役割を果たしています。入社3年目の若手社員をグループ会社の社長に抜擢し社内に大きな刺激を与え、「後に続こう」という意欲を生み出しました。これこそが、“チャレンジ精神”を何よりも重視する菰下流の人材育成の真髄です。
これまで挑戦してきた
主な取り組み
- 1975年
- 同業他社に先駆けて図面をトレースし、自動でガス鎔断する大型アイトレーサーを導入し、ガス自動精密鎔断の進化に取り組む
- 1983年
- 本社および工場を貝塚市臨海部へ新設移転。工場の集約化で精密鎔断企業として業務拡大の基盤を整える
- 1993年
- 環境保全意識の高まりを受け、業界でいちはやく、プロパンガス鎔断から天然ガス鎔断へ切換える
- 2021年
- 岸和田市ちきリアイランドに製缶専門工場 「ちきり工場」を新設。本社で鎔断した部材を二次・三次加工まで一元管理で製品化し、新たな付加価値の創造を目指す
- 2024年
- 「ちきり第二工場」が完成。今後の需要変化に対応可能な最新式のベンダーを導入する
菰下鎔断が目指す未来精密鎔断のその先へ
競争激化の時代に新たな付加価値創造で
世界を相手に勝負する
わが国の産業界を取り巻く状況は、ますます厳しさを増しています。
そんな中、鎔断業界のトップランナーとして走り続けてきた菰下鎔断は、未来を見据え、新たなチャレンジに踏み出しました。
それが、2021年に新設した「ちきり事業所」です。
製缶を専門に行うこの工場が新たに加わったことで、二次・三次加工による付加価値の提供が可能となり、
新エネルギー分野など、今後成長が期待される分野への参入を計画しています。
その先には、海外市場への展開も視野に入れています。
弊社は、先代創業より精密鎔断を基本に色々なモノづくりを経験し、今日の菰下グループがあります。
1社1社が特徴を持ち技術の向上を図り、高い目標を目指し、切磋琢磨を積み重ねてきております。
この信念をいつまでも継続出来るように、ホールディングス会社を設置。
菰下全体の資産管理、人材管理・育成を基本とし、専門的な見地から菰下鎔断グループを導くことを狙いとして発足いたしました。
これからの時代は特に、技術力が必要になる時代と考えています。
より優れた技術が必要とされ、その時代に合った新たな技術を菰下鎔断の能力を結集して完成させることがこれからの狙いです。
そして、社会に貢献し、社員の幸せを見出し、未来に夢のある企業体を作り上げ、グループ全体で発展し続けることが使命です。
- ホールディングス連結決算
- 165憶円
- ホールディングス全従業員数
- 385名(2025年4月現在)